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乐动体育_乐动体育app-滚球|平台5年度 情報科学芸術大学院大学 学位記授与式 学長式辞(2024年3月7日)

2024年3月7日、乐动体育_乐动体育app-滚球|平台5年度 情報科学芸術大学院大学 学位記授与式を開催しました。授与式では、在校生の有志による第22代リンガーズが《イアマス?リンギング》を演奏しました。





 

乐动体育_乐动体育app-滚球|平台5年度 学位記授与式 学長式辞 (2024年3月7日)

学長?鈴木宣也


修了を迎えられたみなさん、本日は誠におめでとうございます。教職員とともに、みなさんの修了を心よりお祝い申し上げます。また、みなさんを支えてこられました、ご家族や関係者のみなさまへも感謝を述べるとともにお祝い申し上げます。

修了生のみなさんは、新型コロナウィルス感染症の影響を受けた状況で入学し、対面やオンラインによる、これまでとは異なる環境下の中で、日々、研究に励まれました。本学の教職員も毎年の変化の中で、できうる限りの研究環境を整えるように努力してきました。そのような中で、こうしてみなさんが修了されたことを、たいへん嬉しく思います。
これから、こうした環境変化が幾度となく起こる可能性があることに、誰もが不安に思っていることでしょう。感染症だけ限らず、気候変動や食糧危機、あるいは戦争や経済危機や政治問題など、災害に留まらず地政学的な影響も含め、こらから社会全体が大きく揺らぎ、私たちの生活が影響を受け大きく変わっていく可能性があります。
みなさんはこうした大きな変化を経験し、その中で研究を実践されました。このような経験はみなさんにとって、とても貴重な経験であると同時に、変化へ対応できる能力を身につけたからこそ、IAMASを修了できたのではないかと思っています。それは、みなさんが自分の感覚を信じて、変化に振り回されることなく、じっくりと社会や自分と向き合いながら、研究できたからだと考えます。

しかし環境変化はそれだけではありません。
我々の身近な環境変化として捉えなければならないのは、SNSを代表とする情報メディアの変化です。これらについて、問題があることをみなさんはおわかりと思いますが、日々変化し続けるメディアに振り回されており、人と人とのコミュニケーションを私たちはよく考えなければなりません。SNSの利用やオンライン授業などは、場合によっては効果的ということもありますが、一方で、これまで気にしていなかった、人と人とのコミュニケーションの中に、実は非常に大事なことがあることに気付くこともあったかと思います。
それは、身体性や、空間、時間を共有することによる、共感のような、他者への思いやり、あるいは配慮といったものも含まれるのではないでしょうか。私たちは五感という全ての感覚を用いて無意識のうちに、その場のあらゆる情報を感知するだけではなく、話し方や仕草、状況や話しの文脈など、それらを総合してコミュニケーションをおこなっています。
20世紀にアメリカで活躍した理論物理学者であり哲学者であるデヴィッド?ボーム氏は、シュレーディンガーやアインシュタインなどの研究にも多大な影響を及ぼした人物とも言われておりますが、彼は物理学とは異なる神経心理学へも精通した人物であると言われています。そのボーム氏は、対話の重要性を説いており、要約すると、次のようなことを述べています。
誰もが望む未来を作るための方法は対話である。対話とは議論と違って特に目的を定めず、いかなる結論も求めるものではない。重要なのは、自分の意見に固執して人の意見を否定したり、自分の意見を押し通すことで議論に勝とうとする態度を捨てることである。対話は感情を共有し、友情を育むことで、よりオープンになり、互いを信用するようになる。そのような状況から隠されていた「真実」が見出され、真の「知性」が働き出すのだと、言っています。また、私たちの日常の行動や思考を可能にしている基盤は、対話による暗黙知であり、またそれは創造性の源である。このような知性が世界の状況を変えるための突破口になり、それ故に、誰もが望む未来を作るための方法は対話なのだ、とボーム氏は言っています。
このボーム氏のいた20世紀の状況と異なる点は、私たちの対話は言葉や身体によるものだけではなく、現在ではデジタル技術を含むあらゆる表現をも対話に使うことができるようになっている点です。表現が多様になっているからこそ複雑性を増し問題が山積しており、このような問題へチャレンジすることがメディア表現の役割のひとつであり、みなさんが社会へ出て活躍することの意義がここにあるのだと私は考えます。
みなさんの取り組んでいるメディア表現は、答えの見えない問題への探究です。こうしたメディア表現へアプローチするためには、多様な人とのつながりが欠かせません。そのつながりの中で、自分の視野を如何に更新することができるか、そして、社会が向かっている先を、どのように見通すことができるのか、その力が求められています。
今年度の修了研究発表会のタイトルは「Swing-by」でした。「Swing-by」とは惑星の重力を利用して宇宙船を加速していく宇宙技術の専門用語です。このタイトルは自分の研究をIAMASの環境を利用して加速して行く様子を表しているように思えました。またさらに、それぞれの修了研究は、分野も表現もバラバラであるものの、IAMASで研究するもの同士の引力が掛け合わされ、加速する中に、共通する暗黙知のようなものが含まれているではないかとも感じました。
その暗黙知は、我々がよく口にするけど説明のできない「IAMASらしさ」なのかもしれません。みなさんは、IAMASの中で研究する教員や学生同士の対話により作られた、その「IAMASらしさ」を持っているのだと思います。

みなさんは、IAMASを修了してからも、その「IAMASらしさ」を拡張させながら、これまで以上に多くの人との対話を大切にし、より真の知性へとつなげていかれるとともに、「失敗を恐れず」に、「考え続けること」と、「実践すること」を通じて、この混乱した社会に突破口を見い出してくれることを期待しております。
修了するみなさんの今後のご活躍とご健勝を祈念し、式辞とさせていただきます。
本日は本当におめでとうございます。